今回は、40代会社員さんが、見知った顔の若者が乗っていたバイクの騒音がうるさくて悩んだ体験談をご紹介してみます。音を出していた若者と腹を割って話し合った結果、騒音問題を解決でき、今では近所も職場も平和で静かになったそうです。騒音問題について知らない人と腹を割って話し合うのは難しいと思いますので、騒音主が顔見知りの場合には有効な騒音対策だと思います。
マフラーを改造したバイクの騒音が迷惑
アミューズメント施設の社員として働き始めて10年が経ちました。
その前は品川の近くに住んでいました。
都会の喧騒が苦手で、九州の田舎の方に引っ越してきました。
年齢はもうすぐ40歳を迎えようとしています。
少し前の話になります。
そのころ近所ではバイクに乗るのが流行っていて、昼夜問わずバイク音が響いていました。
田舎なので、暴走するほど人が集まるわけではありません。
けれど1台だけマフラーを改造しているのか、物凄い音量で走っていました。
1台だけなのですが、周りが静かなので余計にバイク音が響き渡ります。
近所でも、「迷惑だね」という話をよく聞いていました。
顔を見てみようと、音の鳴った瞬間に屋外に出るのですが、走り去った後。
遠くで警察のサイレンと「止まりなさい」という声が聞こえました。
近所の方が堪りかねて通報したのか、警察が自主的に動いたのか分かりません。
何度も遠くで警察のサイレンを聞く日々が続きました。
騒音主は仲良しの若者だった!?
ある日、その日は平日で田舎なため、お客さんもまばらでした。
そして、仕事の休憩中に外に出た時のこと。
職場の駐車場で見覚えのあるバイクを見かけました。
そうです。
それは毎日のように大音量で走っているバイクそっくりでした。
そのバイクの確証はありませんでしたが、後に分かります。
休憩から戻ってからは、店内を巡回してお客さんを見ながら仕事をしていました。
警察に追いかけられても大音量で走るのを辞めないやんちゃな若い子です。
直ぐにどの人のバイクか特定できました。
その時は年配の方と、子供達しか居なかったからです。
名前はイニシャルでU君。
何年も通って来ていた見知った顔でした。
遊技機にパンチしたり、迷惑行為で何度も叱った子です。
18歳未満では22時以降は遊べない為、注意したことも何度もあります。
でもいつしか挨拶なども交わして、仲良くなっていた子でした。
アミューズメント施設で仲良くなるお客さんは稀です。
仲良くなりすぎると、要求が過激になるためです。
その為、あまり深い会話はしません。
プライベートで会った時には、その限りではありませんが。
その日は、ほぼU君だろうなという予想までで終わりました。
仕事中であった為、お店を出るところまで見ていなかった為です。
若者の話を聞く
翌朝、駐車場で作業をしているとU君はまた来店してきました。
平日なのに、学校や仕事は?と心配になったのを憶えています。
そしてその瞬間、バイクの持ち主が確定しました。
おはようと挨拶をして、学校とか仕事は?と聞いてみました。
もはやU君のお父さんの様な立ち位置です。
学校は行ってなくて、無職なのだそう。
U君の年齢は当時、19歳で免許取りたてバイクも買ったばかりだった様子。
思い切って、騒音で困っている話をしました。
近所で悪い評判になっているぞとか。
仕事柄、夜間の作業が多いから昼間に大音量で走られると困るんだ等。
少し口調が荒々しかったように思います。
U君はうな垂れて、素直にごめんなさいと謝っていました。
やんちゃだけど、本来は素直で、しっかり理由を話せば分かる子なのです。
その後、警察と何をかは敢えて聞かなかったですが、やりあったこと。
バイクを発見する前は、いたずらを避けて別の店の駐車場にとめていたこと。
そんな話をしました。
話の後U君は、普段通りお店で遊んで帰って行きました。
バイクの音も警察の怒声も聞こえなくなる
その日以来、バイクの音も警察の怒声も聞こえなくなりました。
少なくとも、私が自宅に居るときの話です。
U君はそれ以降も暫くは同じバイクで来店していました。
もしかすると、気を遣っていたのかもしれないなと思いました。
答えは直ぐに分かります。
現在、U君は職場の同僚として一緒に働いています。
面接にきたU君が語った志望動機が、毎日タダでゲーム出来そうだからでした。
考え方が安直すぎて、面接は落ちたなと思いましたが即採用でした。
会社が大らか過ぎるだろ、などと感じながらも後輩として育ててきました。
今では、更に下の後輩達のまとめ役として頑張ってくれています。
近所も職場も平和で静か
当時、気を遣って私が自宅にいる時は走っていなかったかどうか。
U君の答えは、そうなんですよーと誇らしげに話していましたが。
私は知っています。
ずっと近隣の民家の少ない山の中の道を走っていたことを。
まったくいい性格しています。
でも不思議と嫌いになれない奴なのです。
その後バイクは、仕事で貯めたお金を頭金にして軽自動車に代わっていました。
今では近所も職場も平和で静かなものです。