今回は、38歳プロ家庭教師(男)さんが、隣の部屋のリサイタルに付き合って眠れないので、実践してみた騒音対策をご紹介してみます。騒音対策の教訓として、騒音問題において、直接交渉は騒音元が話し合いが可能な人物である場合のみ効果的であると学んだそうです。それ以外にも、直接交渉が困難な場合の5つの騒音問題解決方法について考察されています。

一晩中重低音のリサイタルに付き合って眠れない

38歳、男性、職業はプロ家庭教師です。今回は私が埼玉県に住んでいた時に遭遇してしまった騒音トラブルとその解決法について書いていきたいと思います。

10年前、当時、私は埼玉県のとあるアパートに住んでいました。家賃も安く、周囲の環境も良かったので気に入っていたのですが、ただ一つだけ難点がありました。それは、隣人による騒音。

酷い時には、一晩中メタル系の音楽が鳴り響き、全く眠れません。

私もその類の音楽は嫌いではありませんが、モノには限度というものがあります。無理矢理寝ようとしても、隣の部屋から響く重低音と唸るような歌声に悩まされ、一晩中、望みもしないリサイタルに付き合うハメになってしまうのがオチでした。

このままでは、体を損ねてしまいます。安眠できる夜を取り戻すべく、隣人と交渉することにしました。

隣人と交渉後大家さんに相談

まず、隣の部屋に「あなたが音楽が好きなのは、たいへん結構なことだが、一晩中、隣にも聞こえるような音量で再生するのは、やめてほしい」、「このままでは、健康を損ねてしまう」という主旨の手紙を投函。

二日ほど反応を窺ってみました……がダメ。改善する様子は一向に見られません。そこで、今度は大家さんに相談。すると「他の人からも苦情が来ているので、何度か注意はしている。その度、気をつけると言ってはいる」とのこと。

あれだけの爆音を垂れ流しにしていれば、他の住人からも苦情が来るのは当たり前です。注意もその度に行っているようですが、改まることはない模様。で、そのまま大家さんと話をしていたのですが、気になることを仰ったのですね。

大家さん曰く「まだ若いのに少し耳が遠いようだから、音量を大きくしてしまうのかも」これを聞いて私には思い当たることがありました。私の母は幼少時の病気が原因で片耳が不自由になってしまっているのですが、やはりTVの音量を大きくしがち。

ひょっとして隣人も……と考えた私は、隣人との直接交渉にあたることにしました。

それまで精々が、挨拶を交わす程度しか交流はありませんでしたが、見た感じ、社会的な常識が欠けているようにも思えませんでした。だからこそ大家さんも幾度かの苦情があっても追い出さずにいたのでしょう。

再度隣人と直接交渉

夜、彼が帰宅したのを見計らって、隣の部屋のベルを鳴らします。が、いるはずなのに反応はなし。普通は「居留守かな?」と思ってしまうところですが、これで私は自分の推測がやはり正しいのでは?と思いました。

私は幾度かベルを鳴らしドアも何回もノックしました。ようやく彼は私の来訪に気付いたらしく、大声で「は~い」と応答してくれました。

私は挨拶もそこそこに、音楽の音量が大きすぎることを伝えました。彼は申し訳なさそうに「次から気を付けます」と言いました。こうしてみると迷惑行為をする人には全く見えません。

私が「ヘッドホンは使わないのですか?」と聞くと「圧迫される感覚が好きではない」との返答。

その返答を受けて私は「それは個々人の好みだから仕方がない。ところで、私はあなたが自分なりに音量に気を使っているのだと思っている。音量も下げようとはしているとは思う。そこであなたに確認したいのだが、音量を絞ると音が聞こえないのではないですか?」と言うと、「最近、機器の調子が悪いみたいで音があまり出ていないんです。それでつい音量を大きくしてしまって……」とこれも申し訳なさそうに言います。

彼のような音楽好きには、音のない生活は耐えられないでしょうから、音楽そのものに文句を付ける気は私には最初からありません。「それ、本当に機器が悪くなっているのかな?」と私が言うと、彼は怪訝な顔をして「どういうことでしょう?」と聞き返してきます。

そこで、私は自分の母の耳のことを話したうえで「私は医療の専門家ではないけれども、あなたのソレはおそらく耳になんらかのトラブルがあるのだと思います。一度、耳鼻科に行って診てもらった方がいい。ちょっと汚い話になるけども、自分では丁寧に耳を掃除しているつもりでも奥の方は耳垢でビッシリなんてこともある。こうなると貴方のように若い人でも聞こえが悪くなってしまいます」というような主旨のことを伝え、帰り際にもう一度「本当にちゃんと耳鼻科に行った方がいいと思いますよ」と念を押して自分の部屋に戻りました。

その晩は、久しぶりに静かでしたね。

騒音問題において、直接交渉は騒音元が話し合いが可能な人物である場合のみ効果的

数日してから、彼が私に「実家から送ってきたものですが」とリンゴを持ってきてくれました。

彼は「あなたにああ言われて三日後に耳鼻科に行ってみました。あなたがいったように耳垢が奥につまっていましたよ」とちょっと恥ずかしそうに報告してくれました。

(ちなみに私が投函した手紙は気付かなかったそうです)

さて、上記したように、私が遭遇したケースでは隣人自身も耳にトラブルを抱えていました。彼は一人暮らしだったので、「自分の耳が悪い」ということを自覚できるチャンスが少なかったのでしょう。

隣人による騒音問題には色んなパターンがあると思います。外国の方が隣に引っ越してきたのはいいが、夜通し騒いでいるというのは文化の違いに起因しますが、私が遭遇したケースは、

1 一人暮らしの隣人
2 自身の耳が悪くなっていたことを自覚できないでいた
3 話し合いが可能な人物だった

という比較的解決が容易なパターンでした。

私が解決できたのも、3で挙げた彼の人格に拠るところが大きいです。1と2まではそれなりにあるケースかもしれませんが、3の要素を相手が持っていないと直接交渉したうえでの自力解決は難しいでしょう。

そういった場合は、以下の解決法が考えられます。

直接交渉が困難な場合の5つの騒音問題解決方法

A 大家さんや管理会社に連絡・相談する

私もこの方法を併用しましたが、大家さんの人が好すぎて事態は改善しませんでした。ですが、大家さんは、迷惑な人には部屋を貸さない、あるいは部屋から追い出す選択肢も持っていますので、かなり有効な方法です。

B 同じ被害を受けている別の隣人と一緒に(大家さんや管理会社に)苦情を申し立てる

私はこの方法は使いませんでしたが、一人で苦情を言うよりは二人、三人と同志を集めたほうが効果的です。そうすることで、「問題が広範囲に及んでいる」ことを相手に認識させることができます。

C 各自治体の相談窓口に相談

環境課などの担当窓口に相談しに行きます。私の友人がやはり隣人による騒音問題で悩まされたときは、これが効いたらしいのですが、その一方で係りの人の対応が不真面目だったという話も聞きますので、運の要素が絡んでくるかも。

D 警察に相談

これは正直、望み薄だと思います。警察には基本的に民事不介入の原則がありますので。ただ、あまりにも酷い場合、特に明確な健康被害が出てしまい、それを診断書などで証明できる場合には、警察への通報も出来るかもしれません。

E 弁護士に相談

法テラスなど、無料の相談が出来るところもありますが、そういった法テラスに相談に行くとしても、または法律事務所に直接行ってみるにしても、弁護士が割いてくれる時間には限りがありますので、隣人による騒音被害の要点を前もってノートなどにまとめておくことが良いと思います。

他にも相談できる機関はありますが、代表的なところを挙げてみました。

私が体験したような直接交渉での解決が望めるケースは極少数だと思いますが、トラブル元の隣人と直接での交渉で解決を目指すときは、穏やかな丁寧な口調で交渉を行ったほうがいいと思います。

それまでに蓄積された怒りやストレスはおありでしょうが、それをストレートに表現しても問題の解決には役立たないと思うからです。

以上、参考になれば幸いです。